仏壇の選び方 【更新日】
仏壇に供えるご飯は感謝の気持ちです「盛り方」や「供え方」は宗派によって変わります
仏教の基本のお供えである「五供(ごくう)」は、仏壇に線香、花、灯り・お水、ご飯をお供えする供養です。その内の「ご飯」は、私達も毎日食べるものですから、最も身近なお供え物と言えるかもしれません。
しかし、どうして仏壇にご飯をお供えするのかご存知ですか?
、仏前への正しいご飯の供え方というのはあるのでしょうか?
実はご飯の盛る仏具や仏壇へのご飯の供え方などは、宗派によって作法が異なります。
ここでは、仏壇にご飯をお供えすることの意味やご飯の盛り方、仏壇へのご飯の供え方や下げるタイミングについてご紹介します。
目次
仏壇のご飯は「仏飯(ぶっぱん)」と呼ばれ湯気をお供えして仏様への感謝の気持ちを表すものです
飮食供養
仏様のために仏壇にご飯をお供えすることを「飮食供養(おんじきくよう)」と言います。
飯は私達の生活に必要不可欠なものですが、私達が食べているものと同じものを仏壇にお供えすることで、仏様やご先祖様と繋がることができると言われます。
仏飯
仏壇にお供えするご飯のことを「仏飯(ぶっぱん)」と呼びます。
浄土真宗大谷派では「お仏供(おぶく)」という呼び方を使います。
他にも「香飯(こうはん)」や「お鉢(おはち)」等、地域や宗派によって色々な言い方で呼ばれています。
仏様の食事
仏壇にご飯を供えるのは「仏様の空腹を満たすため」と言いますが、仏様やご先祖様がご飯を食べる訳ではありません。
私達がお供えしているのは「ご飯の湯気」です。
ですから仏壇には湯気が出ている炊きたてのご飯をお供えします。
仏壇にご飯をお供えする意味
仏壇にご飯をお供えする意味は、仏様やご先祖様に私達からの感謝の気持ちを表すためです。
仏前に供えられた炊きたてのご飯は「今日も飢えることなく、元気に美味しくご飯がいただけて感謝しています」という私達から仏様へのメッセージなのです。
仏壇にご飯を供えるときの器を「仏飯器(ぶっぱんき)または「仏器(ぶっき)」と呼びます
仏壇へのご飯は専用の器に盛ってお供えします。
故人が生前使っていたお茶碗に入れてあげたいという方もいますが、あの世では現世のお茶碗は使えないのでお供え用の器を使います。
ご飯を入れる仏飯器(仏器)
仏様用のご飯は「仏飯器」に盛って仏壇に供えます。
仏飯器に足がついて少し高くなっているのは「召し上がっていただく」という敬いの心を表しています。
仏飯器は全ての宗派で使われますが、真宗大谷派では「仏器」と言う名で呼ばれます。
宗派によって異なる仏具
仏飯器を含め仏壇で使われる仏具は、宗派だけでなく菩提寺や地域によって素材や色、紋などの決まり事があったりするので注意が必要です。
中でも知られているのが、主に浄土真宗の本願寺派(西)で使用される黒仏具と、大谷派(東)の金仏具です。
真宗大谷派では、鶴と亀のデザインが施された専用仏具も使われます。
仏壇にお供えする仏飯器の数
仏壇に使う仏飯器の数は仏壇の大きさにもよりますが、浄土真宗以外の宗派では日常の供養では1つ、法事や命日など正式な時には2つ使用するのが一般的です。
浄土真宗では通常は3つ、正式な場では4つが主流とされています。
仏器膳(仏器台)
「仏器膳(ぶっきぜん)」はお水を入れた茶湯器やご飯を盛った仏飯器をのせて、一段高くした状態で仏壇にお供えするためのお膳です。
浄土真宗では主に「仏器台(ぶっきだい)」が使われます。
仏壇にご飯を供える時の盛り方は宗派によって異なります
仏壇にお供えするご飯
仏壇に供えるご飯は、毎朝炊きたての一番飯を盛るのが理想です。
お供えのご飯は朝一番にしますが、もし朝ではなくお昼以降にご飯を炊いたのならその時にお供えしましょう。
たとえ朝一番でも、前の晩から炊飯器で保温されていたご飯をお供えするのは避けましょう。
ご飯の盛り方
仏壇に供えるご飯は私達が大盛りのご飯を食べるときのように、仏飯器に高く丸い形に盛ってお供えするのが一般的です。
しかし浄土真宗の本願寺派と真宗大谷派では、それぞれ特別な盛り方を使います。
本願寺派(西)のご飯の盛り方
本願寺派では「蓮のつぼみ」をイメージした盛り方を使います。
まず仏飯器にご飯を小高く盛ってから、しゃもじの背などを使って蓮のつぼみのような形に整えていきます。
予め仏飯器としゃもじを水で少し濡らしておくとご飯の形が整えやすくなります。
真宗大谷派(東)のご飯の盛り方
大谷派はご飯を「蓮の実」をイメージした円筒形(えんとうけい)の形に盛ります。
蓮の実の形にするために「盛糟(もっそう)」という専用の仏具を使うのですが、ご自宅の仏器の大きさに合わせたサイズの盛糟を選びましょう。
枕飯
ご飯の真ん中に箸を垂直に立ててお供えするのを見たことがあると思いますが、あれは「枕飯(まくらめし」と言ってお通夜や葬儀の時に故人に捧げるご飯の盛り方で、仏壇にお供えする時に箸は立てません。
仏壇にご飯を供える場所も宗派によって多少変わります
仏壇へのご飯の供え方は宗派によっても異なりますが、基本的に浄水(水)と飮食(ご飯)は並べてお供えします。
大きめの仏壇にご飯を供える場合
中型や大型の仏壇は、ご本尊を安置する須弥壇(しゅみだん)の下が3段以上に分かれています。
その場合は上段にお位牌、その下の中段にお水やご飯などのお供え物、下段に三具足やおりん等のお参りに必要なものを置きます。
茶湯器と仏飯器を1つずつ使用する場合は、仏壇に向かって左側にお水が入った茶湯器、右側にご飯を盛った仏飯器を設置します。
仏飯器を2つ使う場合は真ん中にお水を置いて、その左右にご飯、仏飯器が1つで茶湯器が2つの時は、その逆に置きます。
ミニ仏壇にご飯を供える場合
ミニ仏壇は段数が限られているので、手前側に供養に使う具足、その奥の一段高くなった場所にお水とご飯をお供えします。
浄土真宗の場合
追善供養を行わない浄土真宗では、ご飯は故人ではなくご本尊にお供えするものです。
ですからご飯は位牌や過去帳の前ではなく、ご本尊の「阿弥陀如来」もしくは「南無阿弥陀仏の六字名号(ろくじみょうごう)」の前にお供えします。
スペースのある大型仏壇の場合は、ご本尊の両脇にある「脇掛」の前にもご飯をお供えします。
仏壇のご飯は湯気が出なくなったら下げて美味しくいただきましょう
仏壇にご飯をお供えするタイミング
仏壇には毎朝炊きたての最初のご飯をお供えするのが基本です。
仏様やご先祖様にとってはご飯の湯気がご馳走になるので、炊き立ての美味しい湯気を召し上がっていただきます。
仏壇の仏飯を下げるタイミング
一般的に仏壇のご飯は湯気が出なくなったら下げます。
季節や部屋の環境にもよりますが、お供えのご飯の湯気が出なくなるのは15分〜30分程度でしょう。
お供えのご飯を下げた後は
仏壇にお供えしたご飯はずっと置きっぱなしにはせず、仏壇に供えて手を合わせた後に下げて美味しくいただくことが良いと言われます。
ここまで仏壇にご飯を供える作法を色々ご紹介しましたが、そんなに厳格に作法に従う必要はありません。
ご自分の生活スタイルや供養スペースの中で、無理なく日々の供養を続けることの方が大切です。
仏壇にお供えしたご飯を私達がいただく時には、今日も元気にご飯が食べられる事に感謝して手を合わせ美味しくいただきましょう!
動画でも詳しくご紹介しています
- お仏壇に置くご飯、お供えしてるのはご飯じゃない!?
- 仏飯器のご飯の盛方と注意点
- 仏飯の供える・下げるタイミング