仏壇の選び方 【更新日】

金仏壇は使われている木材や金箔、表面の仕上げ方、工法に違いがあります

金の仏壇

お仏壇には実はいろいろな種類があることをご存知でしょうか?
金を用いて極楽浄土を表したとされる金仏壇から、伝統的なお仏壇の代表でもある唐木仏壇、現代の洋風の家にも合うように作られたモダン仏壇など様々な種類があります。

その中でも歴史が古い金仏壇ですが、現在では一般家庭でもあまり見かけられなくなってきたため、普通のお仏壇と金仏壇の違いが分からない方も多いと思います。

金仏壇は主に浄土真宗を中心に発展してきたお仏壇ですが、必ずしも浄土真宗を信仰している必要があるのかと言われるとそうではありません。
どの宗派の方でもお使いいただけます。
伝統工芸品の一つとして高い評価を得ている金仏壇も多く、職人の技を感じさせる美しいお仏壇が数多くあります。

金仏壇は一見すると違いが分かりづらいものですが、選ぶ際の様々なポイントがあるのです。
今回は金仏壇についてご紹介します。

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金仏壇には日本建築に多く使われている木材が使用されています

日本建築に多く使われている木材

お仏壇は木材から作られているものなので、使われている木材の種類によって値段が変わってきます。
ただ、唐木仏壇は銘木と呼ばれる大変高価な木材が使われることも多いのに対し、金仏壇に使われているのは日本建築や家具にも多く使われている馴染み深い木材が多いのです。

また金仏壇を安価に仕上げるために、合板や木質繊維板が使われることもあります。
では木材の特徴をご紹介します。

檜(ひのき)

日本を代表する木材の一つである檜。
大変良い香りのする檜ですが、その耐久性と保存性は世界最高レベルとも言われるほどです。
檜には薬効成分も多数含まれており、虫を寄せ付けないと言われています。
永くお使い頂くお仏壇にはぴったりの木材と言えそうですね。

檜の中でも金仏壇によく使われているのが檜葉(ヒバ)です。
繊細で美しい木目を持つヒバは、約7割の金仏壇に使われていると言われています。

年輪が密に詰まっている杉は軽く軟らかで、家具や日用品にもよく使われています。
天然木は良質なものが多く、劣化しにくい木材と言われます。

伐採制限があり現在ではあまり使われなくなってきましたが、松も日本人には馴染み深い木材ですね。
加工しやすく歪みの少ない松は、金仏壇の木地や彫刻に使われています。

欅(けやき)

日本の代表的な木材の一つである欅。
耐用年数が高いため、家具だけではなく電柱や太鼓などにも使われる木材です。

銀杏(いちょう)

現在ではあまり金仏壇には使われなくなっている銀杏ですが、加工性に優れ歪みが出にくい木材と言われています。

合板や木質繊維板

金仏壇の価格を抑えるために使われるのが合板や木質繊維板です。
接着剤で板を貼り合わせて作られている素材なので、耐久性に乏しい素材とも言えます。

金仏壇に使われている金箔のランクによって金仏壇の値段が変わります

金箔

金仏壇の装飾には金箔が主に使われていますが、同じように見える金箔にも実はランクがあります。

金箔の中でも金の純度が94%のものを本金箔といいます。
その中でも金・銀・銅の含有率により金の含有率が高いものから、五毛色・一号色・二号色・三号色・四号色と決められており、現在では四号色が金仏壇にはよく使われています。

金箔ではなく金粉を使っている金仏壇もありますが、金粉を使ったお仏壇の方が高価になっています。
金粉の方が金箔よりも使用量が多くなりますし、金粉を均等に撒くためには熟練の技術が必要になると言われます。
そのため、金粉を使用した金仏壇の方が高価になるのです。

また金箔を貼る際、漆を使って貼っている金仏壇は手間がかかる分耐久性が高くなりより高価になります。
化学塗料で貼る方法もありますが、耐久性はかなり低くなってしまいます。

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金仏壇は表面仕上げの種類によって値段が変わります

表面仕上げの種類

金仏壇の表面仕上げにもいろいろな種類があり、それによって値段も大きく変わります。

漆仕上げ

最も高価なのが漆仕上げ。
相当量の漆を配合した塗料を用いたもののみが漆仕上げと呼ばれます。

耐久性が高く美しい艶が出る漆仕上げは熟練の職人の手作業で行われているため、高価な金仏壇に多く用いられています。

カシュー漆

漆よりも低価格なのに、漆と変わらない性能を持つと言われるカシュー漆。
漆よりも簡単に乾燥させることができるため、現在ではよく使われるようになってきています。
漆仕上げのように手作業ではなく吹き付け塗装が可能なので、その分安く仕上げることができます。

ウレタン仕上げ

ウレタン仕上げはポリウレタン樹脂塗料を表面に塗って仕上げたもの。
表面にポリウレタンの薄い膜を張ることで、水が染み込みにくくツルツルとした手触りになります。
木材は時間が経つごとに反りや割れが起こってしまうこともありますが、ウレタン仕上げは木本来の調湿作用を失わせるため、反りや割れがほとんど起こらなくなります。

セルロースラッカー仕上げ

セルロースラッカー仕上げはセルロースラッカーという塗料を表面に塗って仕上げたもの。
速乾性が高く作業効率が上がるため、大量生産される安価なお仏壇に用いられています。

金仏壇はそれぞれの工程を熟練の職人が担当し技工を凝らすほど高価になります

熟練の職人

金仏壇の産地は日本にいくつかありますが、金仏壇の伝統的な工法は細分化されていてそれぞれに熟練の職人がいます。

木地

お仏壇の材料になる木材のことを木地といい、木地を使ってお仏壇の堂組・天井・柱を作る職人を木地師(きじし)と言います。
木地には檜、松、杉、欅などが複合的に使われます。

塗り

上記で紹介した漆などの塗料を塗る職人のことを塗り師と言います。
漆塗りは金仏壇の見栄えに大きく影響する大切な工程ですが、何回も丁寧に漆が塗られた金仏壇は大変美しく高価になります。

宮殿(くうでん)

お仏壇の中でご本尊をお祀りする場所を宮殿といいます。
高価な金仏壇には、御手先・御坊屋根など熟練の職人にしか作れないような宮殿が作られていることも。
宮殿を作る職人のことを宮殿師と言います。

彫刻

金仏壇には細かな彫刻が施されていることがありますが、この彫刻をする職人のことを彫刻師と言います。
彫刻には花や唐草、菩薩、鳥などの模様があり、細かい彫刻を付け足す付け彫りと一枚掘りという技法があります。

金具

お仏壇の扉などに取り付ける装飾金具・補強金具のことを金具といい、金具を取り付ける職人のことを金具師と言います。
金具師が鏨(たがね)という道具を使って金属を加工し手打ちをする伝統工芸はその分高価になりますが、最近では機械が用いられるようになってきました。

蒔絵

蒔絵というのは、漆で描いた紋様に金粉・銀粉・色粉を付着させる技法で、日本の伝統工芸の一つです。
蒔絵を施す職人を蒔絵師(まきえし)と言います。
蒔絵師が丁寧に描いた蒔絵は高価な金仏壇に使われていますが、最近ではシルクスクリーンの蒔絵やシールの蒔絵など、安価な蒔絵も使われるようになっています。

金箔

金箔を押す職人のことを箔押師(はくおしし)と言います。
上記で紹介したように金箔には様々なランクがありますが、箔押師が一枚一枚丁寧に貼り付けたお仏壇はやはり高価になります。

金仏壇は、昔ながらの伝統工芸の技が光るものは、やはり高価になりますし、手間をあまりかけずに最新の技術を用いて作られるお仏壇は、比較的安価になります。
これからも永く受け継いでいけるようなお仏壇をお探しであれば、職人の手によって作られた高価な金仏壇がおすすめです。

手間暇かけて作られた金仏壇というのは、始めから「お洗濯」というお仏壇の修理をしながら永く使うことを見越して作られています。
その分精巧な作りになっており、丈夫にできています。

予算との兼ね合いでそこまで最高品質にこだわらなくていい、というのであればもう少し安価な金仏壇を選ぶのもおすすめです。

どんなお仏壇をお求めなのかは、そのご家庭ごとに変わってくると思います。
金仏壇をお探しの方は、どんなお仏壇が欲しいのかよく考えてから、選ぶことをおすすめいたします。

この記事を書いた人烏雲嘎(ウユンガ)

ご家族の事を思いながら、「その人らしい」お仏壇をご希望されるお客様が沢山いらっしゃいます。お客様のご家族に対する思いをしっかりとカタチに出来るよう、精一杯サポートさせていただきます。
1985年、12月生まれ。
2015年、大宮店店長に就任。
2018年より現職である関東地区エリアマネージャーに就任。
趣味:絵を描くこと
資格:仏事コーディネーター

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