仏壇の選び方 【更新日】
お仏壇にお供えする花は造花でも良い?花の種類や手入れ・作法を解説
お仏壇にお供えする花のことを仏花(ぶっか)と呼びます。
生花を活ける場合もありますし、造花を飾る場合もあります。
仏花を選ぶ時の決まりはないと言いますが、実際は仏花に適している花とそうでない種類の花というのがあります。
仏花に使う花の色や本数、お仏壇に供える時の形や花の向きまで存在します。
仏花には生花が望ましいとされていますが、生きている花を長持ちさせるためには毎日の花や花立のお手入れが必要ですし、枯れたら捨てて新しい花を買わなければなりません。
生花を使うと時間も体力もお金も必要なのです。
しかし、どうしてお仏壇に供える仏花は生花でないといけないのでしょうか?
お仏壇に造花や常花(じょうか)、プリザーブドフラワーをお供えするのはいけないことなのでしょうか??
この記事では、お仏壇に供えるのにふさわしい花の選び方や供え方、仏花を長持ちさせる方法、お仏壇に生花を飾る理由について解説いたします。


目次
お仏壇でのお供えには適している花と適さない花があります
お仏壇にお供えする花のことを「仏花(ぶっか)」と呼びます。
仏花の選び方に厳格な決まりはありませんが、一般的に仏花に適した花とそうでない花があります。
お仏壇には向かない仏
仏花に適さない花の特徴は次のとおりです。
・痛みやすい
・散りやすい、散るのが早い
・毒がある
・トゲがある
・匂いが強い
枯れた花をお仏壇に供えるのは禁物なので、痛みやすい花は仏花に向きません。
散りやすい花もお仏壇を汚してしまう要因になるので同様です。
また「トゲ」や「毒」は殺生をイメージさせるため、仏教的に良くないと考えられています。
これらの特徴から具体的な花の例としては
・椿
・山茶花(さざんか)
・ユリ
・カサブランカ
・石楠花(しゃくなげ)
・バラ
・アザミ
・彼岸花(ひがんばな)
などが、一般的には仏花として適していない花となるので、注意しましょう。
お仏壇に適した花
お仏壇でのお供えに適した花の特徴は、一言で言えば「長持ちする花」です。
・菊
・カーネーション
・スプレーマム
・金盞花(きんせんか)
・りんどう
・鬼灯(ほおずき)
・百日草(ひゃくにちそう)、ジニア
・ケイトウ
・グラジオラス
・アイリス
これらの花以外にも、お仏壇に故人が生前好きだった花を供えることも多いです。


仏花をお仏壇に飾るときには花の色や数だけでなく供え方にも注意しましょう
用意した仏花をお仏壇に飾る際には、いくつか注意したい点があります。
基本的な色合いは5色
お供えする花の基本は「白」「黄色」「紫」「赤」「ピンク」の5色です。
3色とする場合は「白」「黄色」「紫」とすることが一般的となります。
注意する点は、四十九日までは白い花以外を供えるのは避けるということです。
飾る本数は奇数
お仏壇に供える仏花の本数は「3本」「5本」「7本」と、奇数にします。
2つの花立てをお仏壇に置く場合は、同じ本数の束を2セット用意しましょう。
お店で購入した花束は輪ゴムでまとめられていることが多いですが、輪ゴムをつけたまま飾っても問題ありません。
ひし形に整えて飾る
お仏壇に供える仏花は、ひし形に整えて飾ります。
長めの花を1本中心として、全体的にバランスが良くなるように飾りましょう。
イメージとしては神事で使用する榊のように、全体的なシルエットがひし形となるようにします。
花の向きはお参りする側に向ける
仏花はお仏壇にお供えするものですが、花の向きはお参りする私達の側に向けて飾ります。
その理由は、お仏壇に置かれた花を目にすることで、私達が「命あるものには終わりが来る」という命の尊さを再認識できるからです。
お仏壇に飾った仏花を長持ちさせるにはバクテリアの繁殖をおさえることがポイントです
仏花には生花をお供えすることが基本です。
お仏壇に供える花には長持ちする花を選びますが、きちんとお手入れをしなければすぐに枯れたり腐ったりしてしまいます。
花立をキレイに保つ
花が枯れてしまう大きな原因の一つは、バクテリアが繁殖してしまうことです。
汚れはバクテリアの餌となってしまうため、花立は常に清潔にしておきましょう。
水をこまめに替える
バクテリアの繁殖を防ぐために水は毎日入れ替えましょう。
花の茎がヌルヌルしている場合は、水を入れ替えるタイミングで花立と一緒に洗うと良いでしょう。
余分な葉は取り除く
茎の下の方にある葉が水の中に浸かってしまうと、バクテリアが繁殖するもととなるので、水に浸かる部分の葉は全て取り除きましょう。
根本を斜めに切る
バクテリアが繁殖すると、花は茎から水分を吸収できなくなります。
ですから時々茎の根本を斜めに切ると、断面も広くなり再び水を吸収しやすくなります。
花の延命剤を使用する
花の延命剤にはバクテリアの繁殖を防ぎ、花に栄養補給をする2つの効果があります。
通常なら2週間ほどで枯れてしまう花も、延命剤を使うことで1ヶ月ほど保つこともあります。
毎日の水替えが大変な場合は、延命剤の活用をお勧めします。
お仏壇に飾るのは生花でも造花でも良いのか?


お仏壇に生花を飾る理由
一般的には仏花は生花が望ましいと言われています。
特に浄土真宗系では、生花以外は認めていません。
生花が良しとされる理由はいくつかあります。
たとえば仏様やご先祖たちには「花の香りを供えている」とも言われます。
他にもお仏壇に供える時の花の向きで書いたように、仏花は仏様のためというよりも「お参りする人向けにお供えするものだから」という考え方があります。
生花が枯れていく姿を日々見ながら、私たちは命の尊さというものを実感できるのです。
枯れない花
しかし、生花をお供えすると日々のお手入れが大変です。
時間や体力をとられるだけでなく、こまめに花を入れ替えるとお金もかかってしまいます。
その場合「枯れない花」である造花や常花(じょうか)をお供えすることも一つの方法です。
常花とは、仏教で悟りを象徴する蓮の花をかたどった造花で、生花では手に入りにくかった蓮の花の代わりとして用いられます。
他にも最近では、生花を長持ちさせるために加工した「プリザーブドフラワー」も注目されています。
「生花」で無いことに疑問をいただかれる方もいらっしゃいますが、そもそも供養はお供えする方の気持ちが一番大切です。
もちろん生花をお供えできれば最良ですが、造花や常花を飾っても、仏様やご先祖が悲しむわけではないのです。
お仏壇には生花をお供えするのが望ましいですが、やはり生きているもののお世話はとても手間がかかります。
仏花は私達自身のために供えるものでもあるのですから、花のお手入れを心配して精神的に追い詰められてしまったら元も子もありません。
年齢や体調的に生花の管理が難しい場合には、造花やプリザーブドフラワーをお供えしてもいいと思います。
大切なのはお仏壇にお花を供えたいという気持ちです。
仏花を供える際のマナーも大切ですが、毎日のお参りができるよう私達がよい状態でいることの方がずっと大事なのではないでしょうか。