仏具の選び方 【更新日】

仏具の座布団に宗派による決まりはありませんが置き方には気をつけましょう

仏具の座布団

仏具と言っても様々な物がありますが、その中でも言われてもあまりイメージが湧かない仏具の一つとしての一つに「座布団」があげられます。

座布団は平安時代ごろより使われており、もともとは目上の方の座るものでした。
その後、江戸時代に入ると江戸の庶民にも普及しましたが、日本全国で使われるようになったのは明治時代に入ってからだと言われています。

仏具の中でも一番身近で、普段から日常生活の中で使っている座布団ですが、仏具の座布団は普通の座布団と何が違うのでしょうか?
また宗派によって仏具の座布団に決まりはあるのでしょうか?

大切なご先祖様を供養する法事の際に、お経を唱えていただくご僧侶に失礼の無い心地よいおもてなしを心がけたいですね。

店舗一覧実物確認店舗一覧実物確認

仏具の座布団には邪気払いの意味のある房がついており名称も様々

仏具の座布団

代表的な呼び方:
・御前(おまえ)座布団
・導師座布団
・仏壇座布団
・仏前座布団
・法要座布団
・法事座布団

座布団はもともと名高い高僧の方などに使われる敷物でしたので、邪気を払う為に座布団の四隅に角房(すみふさ)がついています。

房は形状がホウキに似ていて邪気を払うという意味があり、座布団の他には兜の頭の頂点や日本頭の房紐、扇子や袱紗(ふくさ)などにも付けられています。

相撲の土俵のような神聖な場所の屋根にも大きな房が備え付けられており、仏具の座布団の角房にも邪気を払うの結界のような意味があることが伺えます。

明治時代以降に全国に広まった座布団ですが、現代では洗濯時の利便性や製造時の工程を減らしコストを下げる為に房の無いタイプも多く売られており、よりクッションとしての機能が重視されたものになりつつあります。

仏具の座布団はご僧侶の長い読経用に大きく、厚く、高品質

仏具の座布団は大きく、厚く、高品質

仏具座布団のサイズ

仏具の座布団は一般用の座布団とサイズが違います。
一般的な座布団のサイズは、銘仙版(めいせんばん)といわれるサイズですが仏具の座布団はそれより一回り大きな65cm~70cmのサイズの物が多く、形状も正座時に足先が仏具座布団からはみ出ないように正方形ではなく奥行きが少し長く作られています。

仏具座布団の厚み

仏具の座布団は、収納を考えて薄型に作られている一般用の座布団と違い、かなり厚みがあります。
これは法事の際にご僧侶が読経をする時に使われる事を想定して作られている為で、読経は長いと40分ほどもありますので、同じ正座の姿勢でいても疲労や痛みが少ないようという配慮から厚めに作られているのです。

仏具座布団のデザイン

色の種類は紫色、金襴(きんらん)が多く、柄は鳳凰や龍、菊、蜀甲(しょっこう)、牡丹などの柄がよく使われますが、最も多く使われるのは唐草模様です。
どの柄を選んで良いかわからない場合は唐草模様を選ばれると良いでしょう。

仏具である座布団は縫い目のない方を仏壇側に、中央の房を上に向けて置く

座布団の置き方

お位牌を置く位置にも仏壇内に上座・下座があり、仏具にも一つ一つ決められた置き方や向きがあります。
仏具である座布団にも当然ながら正しい置き方があります。

大切なご先祖様の法事に読経をしていただくご僧侶に失礼があってはいけませんので、仏具の座布団の正しい置き方を確認しましょう。

仏具の座布団の向き

仏具の座布団も基本的な製法は一般的な座布団と同じで1枚の布をU字に折り、左右を縫って袋状にしてから中に詰め物をして最後に後ろを縫います。
3方は縫い目があり、U字にした部分だけが縫い目がありませんので、縫い目のない方を仏壇に向けて置きましょう。

仏具の座布団の表裏

仏具座布団には表裏があります。
仏具座布団の中央に糸でできたホウキのような「房」がある方が表面になるので、表面を上にして置きましょう。

仏具は宗派によって違いがありますが座布団には決まりはありません

座布団は宗派によっての決まりはありません

座布団も仏具ですが、宗派によっての厳密な決まりはありません。
ですが、法事で大切な役割を担うご僧侶が座るのに相応しい物である必要があります。
あまり派手な色の物は避けて、伝統的な落ち着いた紫色か金襴の色の座布団が無難です。

柄も様々なものがありますので、ご自身の気に入った物を購入いただいて良いのですが、どうしても迷ってしまって決められない場合や、間違いの無いようにしたい場合は、古くから仏教で使われている唐草模様をお選びになると良いでしょう。
唐草模様であればどの宗派の方でも問題なく安心してお使いいただけます。

仏具座布団のお手入れは11時以降に片面2時間。正絹はクリーニング店へ

座布団のお手入れの仕方

法事の時以外は押し入れに収納しておくことが多い座布団ですが、湿気が大敵ですので、しまう前には座布団から湿気を出す為に干しましょう。
日光で色落ちしやすい赤系色の座布団は陰干しします。
天日干しする場合は地面の水分が蒸発しきった午前11以降に片面2時間を目安に干すようにしましょう。

干す際には平面に置いて干します。
洗濯バサミなどで吊り下げて干すと中綿が寄ってしまいます。
一度中綿が寄ってしまうと弾力が落ちてしまい元に戻すのは至難の業。
どうしても元に戻らない場合は、専門業者に打ち直ししてもらわないといけなくなってしまいます。

押入れの中が湿気ているとせっかく座布団を干しても意味がありませんので、押入れの中も風を通しを良くして乾燥させて、除湿剤やスノコも設置しましょう。

布団圧縮袋を使って収納すると多くの座布団を収納できますが、せっかくの座布団の弾力は失われてしまいます。
そうなってしまった場合は数日干すと弾力が復活しますが、法事の日程に合わせて事前に準備しておきましょう。

費用はかかりますが、高価な仏具座布団は専門のクリーニング店に出すことをお勧めします。
中でも正絹の仏具座布団は、ご自宅で洗うと取り返しがつかなくなる事もありますので、自宅での丸洗いなどはやめましょう。

おもてなしに安心の唐草模様と、夏場に爽やかなイ草座布団

仏前座布団 唐草金通 化繊綿入

おもてなしに安心の唐草模様と、夏場に爽やかなイ草座布団

しっかりとした厚みのある仏具座布団で年間を通してご使用していただけます。
法事でご僧侶にお使いいただくことも、日常の供養でもお使いいただくこともできます。

仏前座布団 唐草金通 化繊綿入 店舗一覧実物確認

藺草座布団 花水木 両面藺草

藺草座布団 花水木 両面藺草

夏場でも爽やかな藺草(イグサ)を編んで作られ、表裏両面に藺草を使っている「両面藺草」の座布団です。

藺草座布団 花水木 両面藺草 店舗一覧実物確認

仏前座布団 正絹四釜十六菊 化繊綿入

仏前座布団 正絹四釜十六菊 化繊綿入

混じり物のない絹地、正絹(しょうけん)に縦4つ、横4つと綺麗に16個の菊紋を配置した豪華な仏具座布団です。

仏前座布団 正絹四釜十六菊 化繊綿入 店舗一覧実物確認

伝統に裏付けられた様々な決まりの多い仏具ですが、仏具の中でも座布団は宗派による決まりも無く、比較的自由に個人の好みによって選べます。
表裏や向きなど気をつけなければならない点もありますが、他仏具の取り扱いよりも決まり事は遥かに少ないので、使用後のお手入れだけは必ず行いましょう。

次に仏具の座布団をお使いになる時、大切なご先祖様への供養をしていただくご僧侶に気持ちよくお座りいただけるように、仏具の座布団は常に清潔で、シミや汚れの無い状態に保ちたいものですね。

この記事を書いた人藤本 崇

初めてのお仏壇購入は分からない事だらけだと思います。
お客様の不安やご要望をくみ取り、素朴な疑問や質問に、お応えさせていただきます。
1970年、9月生まれ。
2016年、北九州店店長に就任。
2019年より現職である九州地区エリアマネージャーに就任。
趣味:子供とガーデニング

こちらのコラムについて
何でもお気軽におたずねください

他にご不明な点等ございましたら、
ボタンよりお問い合わせくださいませ。

  お問い合わせ

こちらのコラムについて
何でもお気軽におたずねください

他にご不明な点等ございましたら、
ボタンよりお問い合わせくださいませ。

  お問い合わせ